いつもの通勤の道。 ふと ある場所に目をやると 幼かった昔の記憶が 蘇えってくる。
彼女は、小学校の登校中に 目撃されていた。 しかし 帰宅時間になっても 同じ場所に
いた為、格闘の末に僕が連れ帰った子だった。
名前は、道端で フラフラしていたので 親が フーテンの寅さんに 掛けて 寅ちゃんと
名付けました。 寅ちゃん は、人より早く起きて 家族を毎日、 起こしてくれた。そして
毎朝のように食卓に卵も運んでくれた。 そんな 寅ちゃん をみんなが可愛がった。
それから数年の月日が経ったある朝、 寅ちゃん は瀕死の状態で発見された。 僕は、
寅ちゃん の容体を気にしながら 小学校へ出かけた。 学校から急いで帰った 僕は、
そこで 親から 悲しい知らせを 聞いた。 夜になり 夕飯の鍋を 家族で 囲みながら
親に 「 寅ちゃん は何で死んだん。」と聞いてみた。
すると 「年を取ったけー卵を詰まらせて死んだんじゃー。」と一言。
さらに 僕が 「何で分かるん。」 と問い返すと僕らが学校に行った直後 、寅ちゃんの
体は 母親の手によって解体され 今晩 食べている 水炊き の中に 入れたと 言う
驚愕の事実を聞かされる事になった・・・。
寅ちゃんは実は 俗に 廃鶏 と呼ばれる採卵期間を終えて鶏舎から出された廃棄用の
雌鶏だった。普通なら加工されミンチ肉等になるのだが、 昔は野山に生きたまま投棄
されているケース多かった。 寅ちゃんもその中の一羽でした。
「廃鶏(拝啓)、車寅次郎様 食べてしまい本当にすいませんでした。」
PR